アスパルテームは世界中で広く使用されている人工甘味料です。
有名なところでは「コカコーラゼロ」や「ペプシネックス」などの清涼飲料水にカロリーを抑えつつ、甘みをつけるために使われています。
しかし、そのアスパルテームには『体に蓄積する』『無精子症になる』などの黒い噂が絶えません。
そこで、ここではアスパルテームに関する、色々な ”ウワサ” を科学的な根拠をもとに徹底的に解明していきます!
◆目次
- アスパルテームとは?
- アスパルテームの構造
- アスパルテームの危険性
この記事は研究によって得られた文献を元に執筆されていますので、記事の内容は科学的な根拠に基づいています。
アスパルテームとは?
「アスパルテーム」はもともと『ニュートラ・スウィート』という名前で1980年代に登場しました。
砂糖のように舌の表面にある「味蕾」を刺激して、甘みを感じることができる化学物質です。
【アスパルテーム】=【フェニルアラニン】+【アスパラギン酸】
そのため、お菓子やシリアル、チューイングガム、デザート、清涼飲料水などの多くの食品に使われました。
ちなみに日本で有名では、パルスイートという名前が馴染みがあるのではないでしょうか?
アスパルテームの構造
通常の砂糖とは違い、アスパルテームは摂取しても血中に吸収されません。
胃の中で消化酵素によって消化され、次のように変化していきます。
- フェニルアラニン → アミノ酸
- アスパラギン酸 → アミノ酸
- メタノール → アルコール分子
では、もう少し詳しく見ていきましょう!
フェニルアラニン
『フェニルアラニン』は必須アミノ酸の1つで人間の体の中で作り出せないアミノ酸です。
ですから、食品から摂取しなければなりません。
そして、健康であれば摂取しても体に害はありません!
事実、日常口にしている肉や魚、卵、乳製品、ナッツなどの多くの食品に含まれています。(1)
しかし、PKU(フェニールケトン尿症)と呼ばれる遺伝的な疾患を持つ人が、フェニルアラニンを食べてしまうと毒性を発揮することがわかっています。
PKU患者さんでは、特に成人するまではフェニルアラニンの摂取を控えなければなりません。(2)
アスパラギン酸
フェニルアラニン同様、『アスパラギン酸』も自然界に存在するアミノ酸です。
人体を構成しているアミノ酸で、魚や卵、肉、大豆などの食品にも多く含まれています。
『アスパラギン酸』を摂取することに何の問題もありません!
メタノール
『メタノール』はお酒などに含まれる「エタノール」と比較して毒性のある物質です。
アスパルテームを大量に摂取すると、この「メタノール」が問題となります。
メタノールを多く含む食品は「果物」や「フルーツジュース」、「野菜」「コーヒー」「アルコール飲料」などです。(3,4,5,6)
一方、こういった食品と比べるとアスパルテームに含まれるメタノールは微量です。
そのため、アスパルテームに含まれるメタノールの毒性は健康に害が無いレベルと考えて良いようです。(7)
アスパルテームの危険性
アスパルテームは非常に健康被害をもたらす物質だと考えられています。
中にはアスパルテームが「頭痛」を引き起こすとか「癌」を発生させる原因になっていると訴えているものまであります。
しかし、これらの事象は科学的には実証されていません。(7,8,9)
では、それらをひとつひとつ紐解いてみましょう!
アスパルテームの発がん性
「ヨーロッパ・ラマツィーニ基金」に寄せられた動物を使った有名な研究によると、『アスパルテームが癌の原因になりうる』と報告しています。(10,11,12)
しかし、別の科学者たちはこれらの研究のお粗末な実験手法や人間との関連性の低さを非難しています。(7,13)
人間を対象に行った著名な研究では、特定の癌とアスパルテームとの間で弱い関連性を示唆しました。しかし、これは男性の場合のみでした。(14)
別の有名な研究では、アスパルテームの摂取と「脳の癌」、「血液癌」との関連性は見つけられなかったと報告しています。(15,16)
さらに科学的なレビューでもアスパルテームが癌を引き起こすという根拠は無いと結論付けてます。(7,17,18)
アスパルテームと糖質
アスパルテームを使ってもダイエット効果はありません。
アスパルテームは「カロリーオフ」の甘味料として、コカコーラゼロなどの清涼飲料水に広く使われています。
市販されているキシリトールガムなども、甘味料の半分はキシリトールではなくアスパルテームです。
しかし、実は『アスパルテームを摂取してもダイエット効果に繋がらない』ということは明らかなようです!
長年、アスパルテームが体重管理に役立つかについては疑問が投げかけられていました。
しかし、多くの研究ではアスパルテームを砂糖に置き換えることで、減量効果があると報告しています。(19,20,21)
アスパルテームの精神への影響
アスパルテームによる脳神経系への影響は研究中です。
ある科学的なレビューでは、『アスパルテームが様々な精神的なトラブルを招くのでは無いか?』と予測しています。(22)
しかし、このレビューは間違ったデータや支持できない予測や品質の低い参考文献などから非常に非難を受けました。(23)
成人を対象とした研究では、『アスパルテームは行動や気分、精神機能に何ら影響を与えない』という結論を導いています。(24,25,26,27,28)
また、子供を対象にした研究でも、同様の結果を得ています。(29,30,31,32,33)
しかし、『うつ状態の患者』を対象にした研究では、アスパルテームを摂取することによりさらに「うつ状態」が悪化するという報告をしている研究もあります。(34)
アスパルテームと脳梗塞
アスパルテームは『てんかん』との関連性があると考えられています。
ほとんどの研究では『アスパルテームと脳卒中に関連性は無い』という結論を出しています。(35,36)
しかし、「てんかん」の発作の1つである『欠神発作』を持つ小児を対象に行った研究では、アスパルテームを摂取することによって「てんかん発作」に繋がる脳の活動が増加すると結論付けました。(37)
アスパルテームと頭痛
今のところ、アスパルテームは頭痛と関連しないと考えられています。
幾つかの研究では、『アスパルテーム』と『頭痛』との関連性を調べたものがあります。
そのほとんどは、『アスパルテームと頭痛との関連性は無い』としています。(8,25,38)
ある研究では、アスパルテームが有意に頭痛を増加させるとしていますが、どのくらい続くのかやどれくらい痛みがあるのかなどは示していません。
しかし、非常に多くの個人差があったため、確信の持てる研究ではありませんでした。(39)
また別の研究では、『アスパルテームと頭痛の頻度』に関する弱い関連性を見つけました。
これによると、『アスパルテーム摂取による頭痛の重症度や期間には関連性が無い』と報告しています。(40)
アスパルテーム まとめ
アスパルテームは世界中で最も研究されている食品添加物の1つで、ほとんどの研究でその安全性が支持されています。
数多くの研究の中にはアスパルテームに敏感な生体反応を示す被験者を含んだものも存在します。(41)
ですので、アスパルテームは健康に害をなすと一概に言えないのではないでしょうか?
というのが、アスパルテームに関する結論です。