この記事は口臭にお悩みのある方や、口臭治療のお医者さんを探している方に向けて執筆しています。
この記事を書いている私は、歯科医師として20年以上臨床に携わっており、口腔外科を専門に診療しています。現在は、市中病院の口腔外科部長として、親知らずの抜歯をはじめとして、一般の歯科医院では対応できない基礎疾患のある方の治療や腫瘍性疾患、外傷、唾液腺疾患、神経疾患、精神的疾患などの診療をしていますので、口臭に関す情報の信憑性は担保できていると思います。
口臭はお医者さんでも診てもらえる?
口臭の内科的な原因って何?
口臭はお口のニオイですから、お口に原因があるように思われがちですが、実は内臓系の病気でも口臭は発生します。
口臭を引き起こす内臓系の病気としては、糖尿病や腎臓病がよく知られています。
その他、胃潰瘍などの胃腸疾患、肝臓病も口臭を引き起こします。
もし、内臓系の病気によって治療を受けている方に口臭が生じていたなら、お口の原因だけでなくこちらの病気も疑っておいた方がいいでしょう。
口臭の耳鼻咽喉科的な原因って何?
糖尿病や腎臓病などの内臓系の病気によって口臭が起こる話はしましたが、これに限らず鼻づまりなどの耳鼻咽喉科系の病気でも口臭は起こります。
中でも多いのが、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎です。
副鼻腔炎とは聞き慣れない病名かもしれませんが、蓄膿といえば一度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
蓄膿とは、上顎洞という眼の下にある骨の空洞に膿が溜まる病気で、正式には上顎洞炎とよばれています。
なお副鼻腔は、上顎洞に加え、蝶形骨洞、篩骨洞、前頭洞に区分されるので、副鼻腔炎イコール上顎洞炎ではなく、もっと広い範囲の炎症を指す言葉です。
ですから、蓄膿イコール副鼻腔炎というのは厳密には同じとは言い難い面もありますが、鼻の炎症も口臭の原因となり得ます。
口臭の精神神経科的な原因って何?
お口の中は唾液で潤っていますが、唾液にはいろいろな役割があることはご存知でしょうか。
例えば、細菌の増殖を抑える抗菌作用、お口の汚れを洗い流す洗浄作用、虫歯菌がお口の中を酸性にした場合にそれを中和する中和作用などです。
精神神経科に通っている方の中には、唾液の分泌を減らし、お口を乾燥させやすくする薬を処方されている方がおられます。
そのような薬を長期に渡って処方されると、口腔乾燥症というお口の中が乾いた状態になることがあります。
すると、お口の中の細菌の繁殖が抑えられなくなる上、汚れも溜まりがちになるので、口臭を引き起こしてしまうことがあります。
その他、本当は口臭など起こっていないのに、口臭が起こっていると思い込んでしまう自臭症という病気もあります。
口臭を診てもらうなら何科のお医者さん?
医科系のお医者さんにかかる前にまずは歯医者さんで口臭の診断をしてもらいましょう!かかりつけの歯医者さんがいなかったり通う時間がない場合は口臭チェッカーなどを使って簡易的に検査する方法もあります。口臭チェッカーに関しては「口臭チェッカーの信頼度に疑問がある方は要チェック」に分かりやすくまとめてある記事がありますので、そちらをご参考にして下さい。
また口臭が見えるうがい薬の特集記事も面白いので、こちらも読んでみて下さい。
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内科で診てもらう
糖尿病や腎臓病など内臓系の病気によって口臭が起こると、特徴的なニオイがします。
例えば、糖尿病はアセトン臭という甘酸っぱいニオイ、腎臓病はアンモニアのようなニオイ、胃潰瘍は酸っぱいようなニオイや卵が腐ったようなニオイという具合です。
このような口臭を感じた場合は、内科で診てもらうといいでしょう。
もちろん、糖尿病や腎臓病でもともと内科を受診している方は、それらが悪化した結果口臭を発している可能性もありますから、内科で相談してください。
耳鼻咽喉科で診てもらう
副鼻腔炎の口臭では、食べ物などが腐ったようなニオイがします。
しかも、ニオイが鼻の奥から漂ってくるような感じになります。
鼻が詰まっている方や、このようなニオイを感じる方は、一度耳鼻咽喉科で診察してもらうといいでしょう。
精神神経科で診てもらう
精神神経科で薬を処方されており、お口の乾燥感を感じている方は、一度主治医の医師に薬の副作用についてご相談なさることをお勧めします。
その上で、薬によって口腔乾燥症を起こしている可能性があり、もしできるのなら他の薬に代えてもらうのもいいでしょう。
他の人から口臭は指摘されないけれど、口臭がしているような気がしている人、周囲の人が自分の口臭を感じていると思っている人は、自臭症の疑いがあります。
このような方は、まずは歯科で診てもらい、口臭があるのかないのかを調べてもらってください。
そして、歯科での治療によって症状が改善しそうにない時は精神神経科で相談なさると良いでしょう。
口臭について医者を選ぶ際の注意点 まとめ
口臭の主な原因は虫歯や歯周病といったお口の中のトラブルが原因で起きます。
しかし、お口のなかのトラブルがないのに口臭がある場合は、医科系のお医者さんに相談することも大切です。
口臭を扱っている医科系の医者は主に、内科、耳鼻科、精神科ですので、まずはお医者さんの話をよく聞いてみることから始めましょう。
また、医者にかかる前にかかりつけの歯科医院で紹介状を書いてもらうと、相手方のお医者さんも状況が把握しやすくなりますので、かかりつけの歯科医師に事前に相談する様にしましょう。