歯科衛生士さんからの質問にグレイシーキュレットなどのキュレット型スケーラーの操作角度や研ぐ時の角度がわからないというものが多いのでここでお答えしていきます。
またよく研がれたスケーラーはスケーリングやSRPに限らず歯周外科時の ”肉芽” の掻爬もスムーズにしてオペ時間の短縮にも繋がりますので歯科医師にもしっかりと習得して頂ければと思います。
挿入角度もシャープニングも ”第一シャンク” が重要!
スケーラーの基本は『第一シャンク』です。
まずは『 ”第一シャンク” を「歯根」あるいは「砥石」にどう当てるかが大事!』という事を頭にしっかり叩き込んでください!
SRPの時は平行に当てる
SRPをする時は「第一シャンク」を歯根と平行になるように当てます。これはもう実践している方が多いと思いますし教科書によく乗っていると思いますので詳しくは解説しません。
また、シャープニングができているか『テストスティック』で確認する時も、第一シャンクをスティックに平行に押し当てます。少し押し当ててから引っ掛けるように上にこすった時に『ピンッ!』と金属音がしたらよく研げている証拠です。
逆にスティックの上を滑ってしまうようでは刃が鈍っています。これではSRPをした時に歯石の上を滑るだけで除去できず、いくら時間をかけても除去できません!
シャープニングの時は「時計」をイメージする。
シャープニングする時は、時計の針をイメージしてください。
まずシャープニングに必要なものは「スケーラー」「シャープニングストーン」「シャープニングオイル」「テストスティック」です。
シャープニング時の前準備
まずはシャープニングストーンにオイルを薄く塗り伸ばしましょう!もしも持っている砥石がセラミックストーンであれば ”水” をつけましょう!
そして「右利き」の人であれば『シャープニングストーンを右手』、『研ぎたいスケーラーを左手』に持ちます。
スケーラーの持ち方はまず握るように持ち(パームグリップ)、次に親指だけを伸ばしてスケーラーの先端を抑えます。これでスケーラーがフラフラ動かない固定された状態になりました!
そして「左のひじ」を机の上など動かない場所にしっかりと置いてレストします。
これで腕全体がフラフラしない状態になります!
シャープニングの際に研ぎたいスケーラが不安定だとうまく研げませんので、これは徹底して下さい。
これで前準備は完了です!
シャープニングのコツ
シャープニングストーンはだいたい断面が片方が細くて、片方が太い形をしています。
シャープニングをする時は ”細くなっている方” を自分に向けると研いでいる刃の状態が確認しやすいです。
そしてシャープニングストーンが『1時』の方向に傾けて、スケーラーの ”第一シャンク” が『1時』の方向になるようにして当てます。
ここで思い出して欲しいのは、『 ”スケーラー本体” ではなく、”第一シャンク” が基準だ』ということです!
これに関しては『Hu-Friedy社』がわかりやすい動画を作成しているので次の動画を御覧ください!
この動画だとわかりにくいかもしれませんが、左手は全く動かさず砥石を持っている右手だけを上下に動かします。
そして研いでいる最中はスケーラの刃部をよく見てください。きちんと正確な角度で当たっている場合はスケーラーの『刃部』に ”スラローム” という黒い研いだカスのようなものが溜まっていきます。
逆にきちんと当たっていない場合はカスがたまりませんので、溜まるように角度を細かく調整ましょう。
研ぎ終わったら…
「シャープニングできたな」と思ったら上下に動かしていたシャープニングストーンは必ず ”下向き” で終わらせます。
この理由は上向きで終わらせてしまうと刃に ”バリ” が出来てしまうからです。下向きで終了すればバリは出来ません。
そしてアルコールワッテでスケーラーに付着したスラロームやオイルなどを拭き取ってからテストスティックできちんと研げているか確認します。
この時『ピンッ!』と金属音がすればオッケーです!この音に関しては動画の「2分55秒」あたりを参考にして下さい。
ちなみにグレイシーキュレットだけでなく、シックルスケーラー(鎌形スケーラー)の研ぎ方が知りたい場合は次の動画を参考にして下さい。
基本は同じです。
まとめ
どうでしたか?
シャープニングはとても重要できちんと研げていないと歯石が取れないばかりか歯石そのものをすべすべにルートプレーニングすることになってしまいます。
また歯周外科などを行った際にもキュレットが研げているかそうでないかでオペの時間が断然変わってきますので日頃からトレーニングも兼ねて研ぐ習慣をつけるようにしましょう!