本記事は「自分が睡眠時無呼吸症候群なのではないか?」「睡眠時無呼吸症候群はどの様に治療すればいいのか?」など疑問に思っている人に向けて書かれています。
この記事を書いている私は歯科医師として12年以上のキャリアがあり、睡眠時無呼吸症候群の患者さんを治療した経験もあることから睡眠時無呼吸症候群に関する歯科からのアプローチ法について専門的で分かりやすい解説ができると思います。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中になんらかの原因で呼吸が止まってしまう怖い病気で日本には200万人ほど潜在的な患者さんがいると予想されています。
場合によっては死に至る危険性がある怖い病気です。
睡眠時無呼吸症候群になると高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの合併症を引き起こすリスクが高くなると言われていますので、早期発見・早期治療が大切です。
睡眠時無呼吸症候群の症状を一覧にまとめてみますので、ご自身でチェックしてみて下さい。
- 起床時に頭痛がある
- 喉が乾く
- インポテンツや生理不順がある
- 昼間に耐え難い眠気に襲われる
- 睡眠中に大きないびきをかいていると言われた事がある
- 夜中に頻繁にトイレに行く
- 夜中よく眼が覚める
- こむら返り(ふくらはぎの痙攣)がある
- 抑うつ状態になる事がある
- 呼吸が止まっていると言われた事がある
もしもこの中で当てはまったり、心当たりがある事があれば病院で調べてみる事をオススメします。
最近では、SASサポートセンターというところが、自宅で睡眠時無呼吸症候群がどうか判定できる郵送式の検査キットがあります。価格も住んでいる場所によりますが東京に住んでいる方だと7000円弱で出来るようなので、睡眠時無呼吸症候群ではないかと感じているのであればぜひ利用してみて下さい。
東京都内以外でも関東県であれば群馬県や茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県に住んでいる方も同じ価格で検査ができるみたいです。福岡や札幌、大阪などに住んでいらっしゃる方は電話で確認して下さい。
睡眠時無呼吸症候群の原因とは??【治療の一歩は原因を知るところから!】
睡眠時無呼吸症候群の原因は仰向けになった時に喉が重力によって潰れ、空気の通りが遮断されておきます。
喉がふさがってしまう原因は、肥満やその他の原因で喉の内側に脂肪がつき、狭くなってしまうからだと考えられています。
また、仰向けに寝ることも横を向いて寝ることに比べて気道が閉鎖しやすい原因です。
そのため、就寝時に喉がふさがってしまわないように、枕の高さを調整したり、横向きや寝うつぶせ寝をしたりと努力されている方もいらっしゃいます。
ちなみに最近は呼吸が止まっていると優しく起こしてくれる『じゅくすい君』というロボット枕なんかも開発されているようですが、まだ販売には至っていないようです。
「クマ型枕」からセンサーが伸びていて、指に装着して使います。
センサーは血管内の酸素量を常にモニターしていて、呼吸がなくなり酸素量の数値が低くなるとクマの腕が動いて起こしてくれるという製品です。
寝ている間にセンサーが外れやすかったり、出張先や家の外で寝泊まりするときには携帯できないなどの改善点があるので今後に期待したい商品ではあります。
睡眠時無呼吸症候群はどんな人がなる?
私がいままで経験したなかで睡眠時無呼吸症候群になる方は次の3つのタイプがいらっしゃいました。
- 肥満傾向にある人
- 奥歯の噛み合わせがない人
- 40歳以降の男性
1つ目の肥満の方は単純に喉が狭くなることによって、気道が狭まります。
2つ目の奥歯の噛み合わせがない人については噛み合わせがないと上と下の顎の距離が近くなり、その結果喉が狭まってしまうからです。
ですから私は総入れ歯の患者さんには可能な限り睡眠中も義歯をつけておくようにと指示を出しています。
3つ目の40歳以降の男性が多いのは、体の老化現象で首の筋肉量が落ちるのか、飲酒などで脂肪が首の内部について塞がりやすいのか多い傾向がありました。
睡眠時無呼吸症候群の治療法は??
睡眠時無呼吸症候群の治療にはまず睡眠時の無呼吸状態を回避する策を講じなければなりません。
起きている時は顎が重力の影響で下に引っ張られますが、仰向けになると下顎は奥に引っ張られるようになります。
逆に下顎を意識的に前の方に持ってくると喉が開くため呼吸がしやすくなります!!
これを利用して睡眠時無呼吸症候群の患者さんには睡眠時も顎を前に出しておけるように、マウスピースを使って痛くない範囲で顎を強制的に前に出させるようにします。
このマウスピースには各所に穴が開いており、しっかり口でも呼吸ができるようになっています。
無呼吸マウスピースの有効性はきちんと下顎が前に出るように設定されていれば高い効果が出あります。
この治療で症状が落ち着いてきたら、ダイエットや歯科治療を行って根本的な原因を治します。基本は生活習慣の改善ですので特に治療薬や治療器具はなく、治療期間も人によってまちまちです。
睡眠時無呼吸症候群の治療は保険でできます!
『睡眠時無呼吸症候群』は国民健康保険を使用して治療していくことができます。
ただし、ひとつ条件があって病院に入院して計測器具をつけた状態で就寝し、実際に無呼吸があるのかどうかというのを検査しなければなりません。
そしてその検査結果を歯科医院に持参して初めて保険が効くので治療費をかなり抑える事ができます。
健康保険は名古屋だろうと浜松だろうと地域に関係なく一律ですが、入っている保険によって負担率が変わってきますのでかかりつけの歯科医院に前もって聞いたほうが安心です。
さらに治療後も無呼吸対策マウスピースによる治療で効果がキチンと出ているかどうかを再度検査する必要があります。
なので少なくとも、入院して検査する場合は、歯科医院での治療も型取りがあったり、マウスピースを作ったりと最低でも3日はかかると考えてください。
今すぐ自分でできる睡眠時無呼吸への対策は?
もしもすぐに歯科医院に行けなかったり忙しかったりする場合は市販品を試してみるとよいでしょう。
無呼吸症候群の症状を抑えるには、とにかく噛み合わせの高さをあげて顎をまえに出した状態を睡眠中に作ることが大事なので、こう言った商品をうまく活用するのもよいと思います。これは私たち歯科医師が製作する技工物と素材は違いますが形がよく似ています。
使い方はまず口にはめてみて長くてほっぺたに当たってしまうところをハサミで切り落とします。
次に赤い部分をつけたまま熱めのお湯につけてやわらかくします。
やわらかくなったら自分が思う以上に顎を前に突き出してマウスピースを噛み、そのまま冷えて固まるのを待ちます。
このとき噛みちぎるくらい噛んでしまうと上と下の歯の十分な距離が取れないので、少し跡がつくくらいが良いと思います。
最後に赤い部分を取って、空気が通りやすくします。
あとはこれをつけて寝てみてください。これでいびきや無呼吸が収まるのであれば、あとはゆっくりダイエットなり歯科治療なりをして様子をみても良いと思います。