歯周病の予防に効果のある食べもの
歯周病予防を食物の観点から考えると3つの系統から予防する方法が考えられます。
- 歯周病菌が増えないようにする。
- 歯周病菌をやっつける。
- 歯周病に強い歯を作る。
この歯周病を予防する食事というのは、研究がそこまで盛んな分野ではないので、はっきりした研究結果が出ているわけではないのですが、私の経験と歯周病に関する知識を織り交ぜてこれを考えてみようと思います。
1.歯周病菌が増えないようにする
歯周病菌が増えないようにするということは、歯周病菌が住みにくい環境を整えることということだと思います。
歯周病菌の多くは酸素があると生きていられない菌(=嫌気性菌)が多いですから、歯についた汚れでも酸素を多く含んだ汚れなら歯周病菌は住みにくいはずです。
また細菌の世界も人間と同じく、常に勢力争いをしていますから歯周病原菌が弱い立場になれば数を増やすことができません。
こういったことから考えると、歯周病を住みにくくするために酸素があって、酸素が好きな菌が住みやすい環境を作れば良いという事になります。
酸素が好きな菌はたとえば、酵母とか乳酸菌です。残念ながら乳酸菌も数が増えすぎてしまうと今度は「虫歯」ができるリスクが増えてしまいますから、『酵母』がベストだと思います。
酵母を多く含む食品
そこで酵母を多く含む食品を列挙して1つ1つ考察してみようと思います。
- 日本酒、ビール、ワイン、焼酎
- 醤油、味噌、お酢
- かつお節、塩辛、くさや
- ぬか漬け、キムチ、ピクルス
- ヨーグルト、納豆、チーズ
俗に発酵食品と呼ばれるものが酵母を多く含んでいます。またパンなども発酵させてから焼きますが、高温になるため中の酵母菌は死んでしまいます。
ですから、酵母を多く含む食品は『生』のものに限ります。では1つずつ検証してみましょう。
日本酒、ビール、ワイン、焼酎
これが発酵食品の中に入っているので嬉しくなっちゃったかたもいるかもしれません。
しかし残念ながら歯周病の予防食品という観点では「ノー」です。理由はお酒は、液体なので肝心の酵母が口を通過しすぐに胃に行ってしまうからです。
これでは酵母が歯に定着ぜず、糖分だけが口の中に残ってしまいます、プラークだけが成長してしまいます。
醤油、味噌、お酢
これも先ほどと同じ理由で、歯周病を予防する食品には向いてません。理由は液体であるのですぐに口の中を通過してしまうということと調味料なので加熱をすることがあるからです。
しかし味噌に関しては『フッ素』が豊富に含まれているので歯質を強化して虫歯に強い歯に育てるという意味では良いです。味噌のフッ素についてはこちらをどうぞ。
かつお節、塩辛、くさや
これも酵母を多く含む食材です。かつお節は加熱しなくても食べられるので歯周病対策としては良いと思います。糖分を含む量も多くはありませんから、虫歯になりにくいです。
これは人間ではなく猫の話ですが、いわゆるペットも虫歯や歯周病になります。私が以前飼っていた猫のピロちゃんも歯周病にかかり最後はハムハムしてました。
ペットが歯周病にかかる原因は完全にペットフードです。加えて猫は歯磨きさせてくれませんから、犬よりも歯周病になりやすい気がします。
なので、この『かつお節』は猫の餌として良さそうですね!実際私のいとこの家で飼ってたシャーミーちゃんはかつお節が大好きで晩年まで歯はありました。
塩辛は良いと思います。塩辛は生のイカの身ですから酵母がよく生きていると思います。
私が好きなアメリカの歯科医師『プライス博士』は世界中を旅して未開の地の人たちの口の中の健康状態と写真を記録してまわりました。
その中で発見したことは、肉などを生で食べている部族には虫歯の発生率が低いということでした。どれくらい低いかというと1%以下。
部族全体で虫歯がある本数が数本という結果だったようです。特にアラスカなどの原住民は海鮮を生で食べていたらしく、彼らの歯には謎の緑色の苔が生えていたが、虫歯は無かったとかかれています。ちなみにこれがその本です。
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私が購入した時は4万円近くする本でしたが、人気があるらしく最近はソフトカバーの廉価版が出ているようです。
『くさや』はあまり食べる機会がないのと、くさいらしい(私は食べたことがありません)のでおすすめしないにしておきます。
ぬか漬け、キムチ、ピクルス
これはとてもお勧めします。というのは健康にも良いですし手軽に食べられるからです。
特にぬか漬けは色々な野菜を使ってバリエーションをつけられるので食の選択が広がります。
キムチは乳酸菌も多く含んでいますが、キムチを食べ過ぎて虫歯になったという話は聞いたことがありませんから気にしなくて良いと思います。
ピクルスはマクドナルドで食べる以外食べた記憶がないのであまり手軽ではないかもしれませんね。しかしうまく調理できる方であればとても良いと思います。
ヨーグルト、納豆、チーズ
ヨーグルトはたまに『歯ブラシにつけて歯を磨け』という話も聞きます。
個人的には食べ物を歯ブラシにつけるのは抵抗があるので、普通に食べれば良いと思います。
またヨーグルトの良いところは乳酸菌が腸まで届きやすいということです。通常食品中の菌は善玉も悪玉もどっちも胃酸にやられて死んでしまいます。
しかし、ヨーグルトは胃酸が深部まで届かないので乳酸菌が生きたまま腸に届いてくれますから整腸剤としての役割もあります。
納豆もヨーグルトと同じく胃酸に強いので菌が腸まで届いてくれます。納豆のネバネバって手を洗っても落ちにくいですよね?あれはあのネバネバが水に溶けにくい物質だからです。なので胃酸にも強い。
ちなみに私がよくお話しする『バイオフィルム』もこういった水に溶けにくいネバネバでできています。なのでいくら消毒薬をかけてもバイオフィルムの下の菌には届きません。
さらに納豆は血液をサラサラにしてくれる成分も入っているので、総合的に健康に良いです。
チーズは食べるとしたら『ナチュラルチーズ』です。プロセスチーズだと一度熱を加えてあるので中の菌は死滅しています。なのでナチュラルチーズを熱を加えずに食べてください。
以上のことをまとめるとヨーグルトが手軽に食べれて体全体にも良さそうですね。
また最近有名になってきたものの中になた豆茶というものがあります。
これについてはこちらのページをご参考にするとより詳しく知ることができます。
簡単に言うと、歯周病が原因で起きる炎症を抑える効果があります。
2.歯周病菌をやっつける
歯周病菌をやっつける食品ということは、今口の中にいる歯周病菌に栄養をあげないで餓死させるのと、物理的に排除して胃酸の海に突き落とす2つの方法が考えられます。
歯周病菌を餓死させ、物理的に排除する食品
歯周病菌に限らず、多くの菌は砂糖を栄養としています。
従って糖分が少ない食品を選んで食べると菌に栄養を与えません。
しかしこれだと人間にとっても栄養不足になってしまいますから考え方を変えて、「長く口の中に残らない食品」という視点で見てみましょう。
ちなみに口の中に残りやすい食品の特徴はクッキーやおせんべいなどの焼き菓子やキャラメルなどの加工食品です。
どちらも食べたあと歯の溝によくはさまりますよね?同じように歯と歯の間の狭い場所にも挟まって菌が繁殖しやすくなります。
さらに口の中に残りにくい食品の中で「食べることで食べ物が歯ブラシのような効果をする」食品を選んでみました。
葉物野菜
レタスやキャベツなどの野菜類は糖分自体をあまり含んでいないのと繊維質が豊富なので噛めば噛むほど歯を清掃してくれます。さらに繊維質は腸の働きも良くするので便秘解消や腸の中の掃除もしてくれますのでオススメです。
逆に根菜類はデンプンを多く含んでいるのと、歯に付着しやすい性質があるので歯周病予防という観点からはオススメしません。
生肉、刺身
先ほどもお話ししたイヌイットたちは生で肉や魚を食べ、虫歯の発生率が極端に低い部族です。
これは野生動物も同じで例えばライオンは生で肉を食べますが、同じく歯周病や虫歯にはなりません。
野生動物が虫歯や歯周病で食事ができない状況はすぐ死につながりますが、野生動物が歯が抜けて食事できてない状況を耳にしたことはないと思います。
これはまだ理由はわかっていませんが、生肉を食べることで同時に歯も清掃しているからだと言われています。
しかし、肉を焼いて食べると虫歯ができやすいこともデータでわかっているので、生肉を食べることが歯周病予防や虫歯予防に効果があります。
この虫歯の発生頻度に関しては、上野の『国立科学博物館』に行くとよく分かります。
ここには色々な太鼓の野生動物や人類の骨が展示されていますが、どれも虫歯はありません。
特に野生動物たちは歯の中の神経が飛び出るくらい磨耗するまで歯を使っていますが、虫歯は全くなくとても綺麗な歯をしていました。
ですから野生動物の食事方法をヒントにすると良さそうですね。
3.歯周病に強い歯を作る
歯周病は歯の周りの骨の病気なので、実際は歯周病に強い骨を作る方法です。
これには骨が溶け出さないように「カルシウムの多い骨を作る」のと「歯周病菌をやっつけてくれる免疫を強化する」ということが重要になってきます。
カルシウム分の多い食品
特にカルシウム分を多く含む食品を列挙します。
- 桜えび
- いわしの油漬
- 干しえび
- プロセスチーズ
- ししゃも
- 煮干し
- しらす干し
- 桜えびの素干し
- いかなご
- えびの佃煮
- あゆ
- ひじき(乾)
- カマンベールチーズ
- えんどう豆
- わかさぎ
- パルメザンチーズ
- いわしの丸干
- ごま
- ヨーグルト
と、特に小魚は丸ごと食べられるのでカルシウムを摂取しやすいです。また意外だったのが「ゴマ」です。ゴマはかなりカルシウムを多く含んだ食材なのでオススメできます。
カルシウムの吸収を助けてくれる食品
カルシウムはビタミンDを含む商品と一緒に食べるとさらに吸収率が良くなります。
- きくらげ
- あんこうのきも
- しらす干し
- いわし(丸干)
- すじこ
- いくら
と主に魚介類に多く含まれます。ダントツに多いのはキグラゲで2番目に多かったアンコウの肝の4倍近く含まれています。
免疫力を強化する食品
免疫力を上げるためには、細菌を倒してくれる「抗酸化作用」のある食品を中心に選んでみました。
- ブルーベリー
- カシス
- お茶
- そば
- 大豆
- シソ
- ゴマ
- ブロッコリー
- 緑黄色野菜
- 唐辛子
- キノコ類
- ほうれん草
- シャケ
- イクラ
- ワイン
例えばよく「ポリフェノール」ということばを 耳にすると思います。これはワインなどに含まれている抗酸化成分です。
いま列挙した抗酸化作用のある食品はほんの一部分で、今回調べた結果、普段食べている野菜や果物にはほとんど抗酸化物質が含まれているということが分かりましたので、野菜、果物を中心にすると歯周病予防に効果があります。
歯周病を予防する食品【まとめ】
今回調べた食品を総合してみると、ヨーグルトを中心として果物や野菜を取り入れると歯周病の予防に効果があることが分かりました。
そしてお刺身や生肉など加熱をしていない食品をゴマや緑黄色野菜と一緒に食べるとカルシウムを吸収しながら歯の清掃もしてくれます。