いくつか問い合わせがありましたので、歯周外科を行う際の緊密な縫合方法についてお話ししたいと思います。
縫合と言うのは本当に奥が深くて、話そうと思うと本が一冊できてしまうくらい細かい決まりとかコツがあるんですが、かいつまんでお話していきます。
縫合の役割
歯周外科において縫合とは単に創面を縫うだけでなく、術後に美しく治癒するようにする意味があります。
基本的に創面の閉鎖は一時治癒、二次治癒に代表されるように緊密であればあるほど治りが早く、美しく治ります。
糸の種類による縫合方法の変更
私が大学の歯周病科にいた頃はとにかく縫合方法を勉強させられました。
歯周外科を学ぶ際には順番として最後のパートから参加させてもらえます。
まずは縫合、次に掻爬、最後に切開といった具合です。つまり最初に縫合からオペに参加させてもらえるためここから学び始めます。
モノフィラメントの場合
縫合に使う糸がナイロンのようなモノフィラメントの場合は基本的に『男結び』あるいは『機械結び』を行います。
これは糸がよく滑るため、解けにくい結び方をしなければならないからです。
マルチフィラメントの場合
一方、絹糸のようなマルチフィラメントの場合は糸自体が滑りにくいため『女結び』を用いて糸を締め付けやすくしていきます。
創面を緊密に縫合できない原因と言うのは、この糸の違いによる結び方の変更を行っていないからです。
よくあるのは絹糸の縫合糸を男結びで結んでしまうために、創面が閉じる前に糸が締め付けられてそれ以上増し締めができないという事があります。
糸を滑りやすくさせるコツ
そのほかに糸をすべりやすくさせるコツが幾つかあります。
糸を濡らす
絹糸のようなマルチフィラメントは糸の繊維の間に血液が絡まって固まると糸のこのようにギザギザになってしまいます。
そこでこれを解決するために、縫合を行う前に糸を生理食塩水でよく濡らす事が大切です。
このときただ単に生理食塩水を糸の上にかけただけでは表面張力によって水がはじかれてしまうので、たっぷりの生理食塩水に浸したガーゼで糸を潰すように摘んで濡らすと良いです。
糸を拭く
もうひとつ大事な事が、縫合をするたびに糸についた血液をふき取るという事です。拭き取り方については前項の糸を濡らすやり方と一緒でかまいません。
これにより糸が短くなるまで快適に縫合糸を使う事ができます。
縫合方法のまとめ
このように決してアドバンスではない、基本的な事項を守る事によって歯周外科時の縫合が緊密に格段によくなります。
緊密な縫合を含めた歯周外科に関する詳しい記事はこちらを参考にしてみてください。