何件か質問があったので症例をお見せしながらお答えします。基本的に歯周外科後の縫合は1次治癒になるように縫合することで綺麗に治すことができます。
『百聞は一見にしかず』症例をみていきましょう!
歯根破折の疑い
こちらは私は長年、見させていただいている患者さんである日突然、唇側の歯肉にフィステルができました。
歯周ポケットはなかったので根尖病巣を疑い、診査ていったところ歯根破折の可能性が浮上したため、患者さんの希望もありひとまずフラップを開けてみて中の状況を確認することにしました。
切開のデザインは『弧状切開』縦切開と横切開が連続してなだらかにつながった形の切開線です。
嚢胞壁を発見!
下の写真を見るとわかる通り、フラップを開けると中には青白い色をした嚢胞がありました。これがフィステルの原因になっていることは明らかだったので、すぐに掻爬を始めました。
嚢胞を取るとそこには破折線が!
嚢胞を綺麗に剥がし終え、歯根表面をスケーリングしていくと、歯根表面に破折線があるのがわかりました。
通常ここまで行くと抜歯となるケースが多いのですが、今回は極力保存する方向で治療を継続することにしました。
抜くのはいつでもできますからね。
破折線を除去し、スーパーボンドで固定
今回は破折線がそれ以上広がらないように、削り取ってしまいそこに接着性レジンを流し込んで固定することにしました。
歯科医療従事者ならなじみのある『スーパーボンド』は細胞接着性のある材料なので、うまくいけば骨ができてくれるかもしれないという淡い期待を抱いて、スーパーボンドで固定しました。
この場合トクヤマからでてる『マルチボンド』じゃダメですからね!
ちなみに僕はマルチボンド好きです。
上の写真が、スーパーボンドが固まったところの写真です。。ここで変にシリコーンポイントなどで研磨してしまうと、シリコンのクズが周りにへばりついてしまうので、ここはグレイシーキュレットでSRPをするように滑沢化するのがベストです。
一番大事な縫合
これが縫合をし終わったところの写真。銃切開であろうが何切開であろうが、創面があたかも何事もなかったように縫合されることが大切です。
ここでの縫合のポイントはいくつかあります。
- 強湾針を使う
- 丸針を使う
- ナイロンの縫合糸を使う
- 機械結びで縫合する
- 縫合は端から行う
ですね。他にも細々したテクニックを使っていますが、大きくはこれが大事なポイントです。
1、2、3のポイントはとにかく細い糸を使うことです。もしも絹糸の縫合糸を使うといちばん細いものでもナイロンよりも太いです。
こういった繊細な創面を縫合するときは迷わずナイロンを使用します。
そしてナイロンはとても滑りやすい糸なので、機械結びをした後に逆方向でもう一回閉めておけば緩むことはありません。
そしていちばん大事なポイントは『端から縫う』ことです。
もしも中央から縫ってしまうと少しの位置のずれがだんだんと大きくなり端のほうは余るか足りないかになってしまいます。
ですから必ず端と端をしっかり合わせて、上下のフラップの位置にズレがないようにして縫合していけば綺麗に仕上げることができます。
見た目が美しいということは、機能性も美しいということなので、傷の治りもよく瘢痕化しないので切開した痕跡を残すこともありません。
術後2週間後の状態
これが術後2週間後の状態です。瘢痕治癒をしていないため、美しく治っていますね!まだ術後2週間なのでこれからもっと周りと馴染んでいきます。
と、簡単ですが縦切開などのときに緊密に縫合する方法をお話しさせていただきました。
これは宣伝ですが、私が執筆した『歯周外科マニュアル』ではこういった基礎的な歯周外科の術式を紹介しています。
もしご興味があればこちらをどうぞ。