親知らずの抜き方はその生え方によって違いますが、最も大変なのは横向きに生えてしまっている場合です。
私はあまり大変な親知らずの場合は近くの大きな口腔外科のある病院で抜いてきてもらうようにしていますが、私が抜く場合は次のことに注意してもらっています。
抜く前日の注意
以前親知らずを抜く前の日に緊張して眠れなかったという患者さんがいらっしゃいました。
睡眠不足の次の日に運動するのが大変なように、親知らずの抜歯も睡眠を十分にとった上で臨むことが必要です。
さらに当日の注意事項はしっかり朝ごはんを食べてくるということです。
稀に緊張して食事が喉を通らなかったという方がいらっしゃいますが、食事をきちんとして血糖値を正常に保つことも大切です。
麻酔が効きにくい親知らず
親知らずはたまに麻酔が効かないことがあります。怖がらせるわけではありませんが念のためにお教えします。
私たち歯科医師が歯を抜く時は歯の中にある神経にも麻酔が効くようにします。
この神経は顎の骨と歯をつないでいる神経なので、ここにも麻酔が効いていないと抜く時に痛みが発生するからです。
しかし多くの場合は親知らずは傾いて生えてしまっていて、根っこは顎の中で麻酔の針が届かないところにあります。
しかし歯の中にまで麻酔が届いているかは歯を抜き始めないとわからないのでやってみて効いてなかったら、麻酔を追加するという風にするしかありません。
親知らずはこうやって抜く!
親知らずの抜き方はへらのような物で歯を倒すように押すと抜けます。
これには言葉で言い表せないテクニックがあるのですが、私は親知らずを抜くためのひみつ道具も持っているのでそれを使えば平均10秒くらいで全て終わらせられます。
抜歯後の注意
抜いた後はしばらくガーゼを噛んで止血をします。
傷口は圧迫すると血管が潰されて閉じるのでもしも家に帰った後も出血する場合はガーゼでも丸めたティッシュでもなんでもいいので噛むと止まります。
抜いた後に出る薬
抜いた後は『抗生物質』と『痛み止め』が処方されることが一般的です。
その他に担当の先生の判断によって『胃ぐすり』や『うがい薬』も処方されることがあります。
私の医院では『冷えピタ』を一緒にお渡しすることがあります。これは後述する冷やすことをなるべく避けていただきたいからです。
抜いたその日に注意すること
抜いた当日は『運動』『飲酒』『熱いお風呂に浸かる』『辛い物を食べる』などの血圧が上がるようなことをしてはいけません。
その他に『喫煙』は傷口の治りを本当に悪くさせるので控えた方が賢明です。
その他に当日だけやっていいことは『患部を冷やす』ことです。
抜いた日から2日間は炎症が続きますから、冷やすととても気持ちよく感じますが冷やしすぎは逆に血の巡りを悪くし、治癒を妨げます。
ですから患部を冷やしていいのは当日だけ。翌日以降もひやしたいのであれば『冷えピタ』か『水道水くらいの温度の水で絞ったタオル』で冷やすだけにして下さい。
どれくらいで治るの??
抜いた傷口自体は1週間ほどで治ります。しかし抜いた穴が塞がるには3ヶ月ほど見た方がよいです。
その間窪みに汚れがたまって口臭の原因となりやすいので市販のうがい薬でうがいすると良いと思います。
うがい薬に関してはこちらを参照してみてください。
歯を抜いた後の治りが悪いとき
歯を抜いた後で多少の出血があることはあります。その場合清潔なガーゼや綿などを噛んで圧迫止血してみます。それで出血がとまるようでしたら心配はありません。 それでも出血が続き口のなかに団子状の血の塊ができるようだと良くない状態です。そのような場合は診察を受けてください。 血が止まりにくい原因としては、重症の歯周病など炎症が強い場合、肝臓病や白血病、血小板減少症などの血液疾患などの出血性素因をもつ場合、脳梗塞や心房細動などに対し抗血小板薬、抗凝固薬の投与を受けている場合が考えられます。
また、抜歯部位の痛みや治癒の遅れがみられることがあります。この原因としては、抜歯後の頻回のうがいや抜歯後の局麻剤の血管収縮剤の影響で、抜歯窩に血液が満たされず、骨を覆う肉芽の形成が遅れることによって、局所的な炎症が生じている可能性が考えられます。他に局所の感染や腫瘍が関連していることもあります。(出典:口腔外科HPより)
まとめ
親知らずは現代人にとって邪魔な歯になってきています。抜歯をする際は余裕をもって予定を組んでいきましょう。
例えばよく人と話す立場の仕事や職種の場合は、抜歯後しばらく仕事に支障をきたすかもしれません。
少なくとも腫れのピークが過ぎる2日間は大事な予定を入れないことをおすすめします。