『キシリトール』は近代食ではなくてはならないものになりました!
お砂糖と同じくらい甘いのに、カロリーが60%も低くて、しかも血糖値を上げないことからシュガーレスガムや糖尿病食などにも使われています。
そこで、今回は今、研究されている中でわかってきているキシリトールの ”すんばらしい” 効果があなたの健康に『どう影響してくれるのか?』について徹底解明していきます!!
そもそもキシリトールって何?
”キシリトール” は化学的には「糖アルコール」と呼ばれます。
糖アルコールというのは、「砂糖」と「アルコール」の合いの子みたいなもので、舌の表面にある ”甘さ” を感じるレセプターを刺激して甘みを感じさせる物質です。
名前に ”アルコール” と付いていますが、酔っ払う事はありません!
そして、成分がほとんど「甘みを感じさせる物質」なので、『ビタミン』も『 ミネラル』も 『たんぱく質』も含んでいません。
1グラム当たりのカロリー量
砂糖:4カロリー
キシリトール:2.4カロリー
またキシリトールは、もともとフルーツや野菜に微量に含まれている成分なので、天然由来の安全な物質です。
実際に人間も微量ですが、体内で作り出しています。
キシリトールは血糖値を上昇させない!
冒頭でもお話しした通り、キシリトールは「砂糖」と違い、血糖値の急激な上昇を引き起こしません!
そのため糖尿病の方のための糖尿病食に甘みをつける成分として使われています。
糖尿病とは、長期間にわたって砂糖(フルクトース)の摂取のしすぎにより、糖を細胞内に吸収させる働きのある『インスリン』がうまく働かなくなる病気です。
そのため、血管内に糖が残り、これが様々な健康被害をもたらします。
キシリトールはフルクトースを含んでいないので、インスリンの働きは関係ありません。(1,2)
化学的にいうと、キシリトールの血糖指数は砂糖と比べて10倍も低い値を示し(3,4)、これは ”すでに糖尿病の患者さんだけでなく、糖尿病予備軍、糖尿病を予防したい人の健康管理にとても良い!” ということを示しています。
ラットを使った研究では、キシリトールを餌に加えることで糖尿病の症状が改善し、腹部の肥満を減少、きちんと食事をした状態でも体重増加を抑える効果があることが報告されています。(5,6,7)
口の中の悪い菌を飢えさせ、歯の健康を促進させる
キシリトールは虫歯の予防に絶大な効果を発揮するため、多くの歯科医師がキシリトール摂取を薦めています。(8)
私もその一人で、オススメはガムで摂取する方法です。
理由は手軽に摂取できて、長時間お口の中に作用し続けるからです。
虫歯で歯に穴が開いてしまう原因の1つが『ミュータンス菌 (Streptococcus mutans)』というプラークの中に潜んでいるバクテリアです。
プラークというのは、ムシ歯の他にも「歯肉炎」や「歯周病」といった生活習慣病の原因にもなっています。
口の中に住んでいるバクテリアの多くは砂糖を餌にしていますが、キシリトールは餌にすることができません!
そのため、砂糖をキシリトールに置き換えるだけで有害なバクテリアの活動を抑えることが出来るのです。(9)
しかも、バクテリアはキシリトールを餌にできないのにもかかわらず細菌内に取り込みます。
こうして細菌内に「キシリトール」がたくさん溜まると、今度は餌となる砂糖が来たとしても、取り込む隙間が無くなっているので取り込めず餓死してしまうのです。(10)
ある研究では、キシリトールガムを食べると、『体にとって良い菌は殺すことなく、病原菌 ”のみ”が27%~75%も減少した。』と報告しています。(11)
その他にも、キシリトールが及ぼす良い影響を以下に列挙します。(12)
- 消化管でのカルシウムの吸収を増やし、歯の健康とともに骨粗鬆症を予防する。(13)
- カルシウムとリン酸を多く含む唾液の産生を増やし、歯の再石灰化を促す。
- 唾液の酸性度を下げ、歯のエナメル質が溶けてしまうのを防ぐ。
- 食事の最初に食べると、虫歯を30~85%減少させる効果がある。(14,15,16)
子供の耳の炎症を減らし、カンジダと戦う
口と鼻と耳はすべて中で繋がっています。
そのため、特に子供では口の中の細菌は耳にも感染する可能性が非常に高いのです。
これもキシリトールを使うことで、プラークからバクテリアが産生されるのを防ぐことで予防できます。(17)
ある研究では、耳の炎症を繰り返している小児に、毎日キシリトール入りのガムを食べさせた結果、炎症の発生率が40%も減少したと報告しています。(18)
さらにキシリトールは炎症の原因となっているカビの一種「カンジダ (Candida albicans)」と戦うのを助ける効果もあることがわかっています。(19)
キシリトールのその他の健康利益
肌や組織に含まれている「コラーゲン」は体の中で最も多いタンパク質です。
ラットを使った研究では、キシリトールが体内でのコラーゲン産生量を促進させることが分かっています。
つまり、キシリトールには肌のアンチエイジング効果があるということです。(20,21)
また同じくラットを使った研究で、キシリトールが「骨量」と「骨に含まれるミネラル分」を増加させることによって『骨粗鬆症』を防ぐこともわかってきています。(22,23)
さらに口の中の病原菌を減らすだけでなく、食物繊維のように腸内の善玉菌の数を増やす効果があるという報告もされています。(24)
犬にはとっても有害なので注意!
人間の場合、体内に入ったキシリトールはゆっくり吸収され、インスリンの産生に影響をあたえません。
しかし、残念なことに犬がキシリトールを食べてしまうと、犬の体の中では砂糖を食べたと勘違いしてしまいインシュリンが大量に分泌されます。
そうすると、犬の血管内にあった糖(グルコース)の吸収が始まり、致命的な『低血糖状態』になってしまいます。(25)
その後も、愛犬の肝臓の機能に悪影響を与え、高い確率で肝不全の原因となります。(26)
この愛犬に致死的なタメージを与える量はわずか『0.1g/kg』です。
ヨークシャテリアのJackは、体重が3kgほどなのでたった『0.3mg』のキシリトール(ガム1粒分よりも少ない!!!)を摂取しただけで病気になってしまう計算です。
ということで、犬を飼っているオーナーの方はキシリトール入りの食品を届かない場所に保管するようにして下さい。
そして、犬がキシリトールガムを食べたかもしれないと感じたら、すぐに獣医さんの所に連れて行きましょう!!
キシリトールの副作用
今まで人間にとって良いところばかりを挙げてきたキシリトールですが、当然「ダークサイド」も存在します。
これはキシリトールを大量に摂取した時に起きます。
キシリトールを含む、「糖アルコール類」は腸内細菌による消化の過程で大量の水が必要になるため、お腹が膨れたり下痢に似た症状を引き起こします。
しかし、体はキシリトールによく馴染む性質がありますので、徐々に摂取量を増やしていけばこう言った症状に見舞われる心配はありません。
また長期間に及ぶキシリトールの摂取も問題ありません。
ある研究では、1日に最大400g以上、1ヶ月に平均して「1.5kg」のキシリトールを摂取しても問題なかったと報告しています。(27)
オススメのキシリトール製品
ここで紹介した各種の研究からキシリトールは歯だけでなく、糖尿病の患者さんや小児の耳の炎症を予防し、コラーゲン産生を促すことによるアンチエイジングにも効果があることが分かりました。
そこで、それぞれの目的に応じたオススメのキシリトール製品を紹介していきます。
虫歯予防や耳の炎症を目的とした場合
虫歯予防には長い間、口の中に作用し続ける形状で摂取することが理想的です。
そのベストな形が『ガム』ですが、一般的にスーパーで購入出来るキシリトールガムには他の人工甘味料も含まれているので、”歯科医院専売品” のキシリトールガムを購入することをオススメします。
そして市販品のキシリトールガムには半分ほど「アスパルテーム」という人工甘味料が加えられていますが、発がん性や不妊の原因になっているのではという話もありますので、そう言った意味からも歯科医院専売品の100%キシリトールガムをおすすめします。
またガムが苦手な方や、小さいお子さんでまだガムが食べられない場合は、タブレットタイプを噛まずに口の中でゆっくりと溶かすように舐めると効果的です。
また小さいお子さんは万が一喉に詰まらせても安全なように、『五円玉』の形をしたものを選ぶことを強くオススメします。
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過去にあった事象として、お母さんが車を運転中に後ろの座席で子供が飴をなめていてしばらく気付けなかったという事がありました。
見えないところで喉に飴を詰まらせても気付きにくいですから、お子さんに与えるときは十分気をつけてください。
糖尿病患者さんが『健康管理』として使用する場合
糖尿病患者さんでは「糖分」の摂取が制限されていますので、普段の食事からキシリトールを使った味付けのものを食べると健康管理に役立ちます。
以前はキシリトールというとガムや飴、よくてもチョコレートといった製品しかありませんでした。
最近はリカルサイダーのように、100%キシリトールの炭酸飲料なんかも販売されるようになりましたので、今や糖尿病食といっても味気ないものばかりではありません。
1本180円くらいで購入でき、すっきりしたレモン味を楽しめます。
またティータイムのお供にチョコレートもオススメです。こちらもキシリトール100%なので血糖値に影響を与えることなくチョコレートを楽しむことができます。
リカルサイダーと比べて甘みが強いのと、個包装で何処へでも持ち運べるので、こちらの方を好まれる方が多いようです。
また、美容効果や骨粗鬆症の予防の場合も手軽に摂取できる飴やチョコレートが良いです。
骨も皮膚も ”コラーゲン” の骨組みでできているので、コラーゲン産生促進作用のあるキシリトールはエイジングケアとスキンケア両方に効果的です。
まとめ
キシリトールの持つ健康利益についてまとめました。
1つ注意していただきたいのは、確かにキシリトールは虫歯予防に絶大な効果を発揮します。
しかし、『むし歯』という病気は「細菌」と「生活環境」そして「宿主要因(個人差)」が複雑に絡み合って起きる病気です。
つまり、『キシリトールを食べていれば歯を磨かなくても良い!』というものでは無いということをご理解ください。
キシリトールを正しく使って、健康的な生活を是非送ってください!
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