これまでフッ素中毒に関する対処法に関する問い合わせがたくさん来ていましたが、その他にも中毒を起こしてしまった時の対処法をお話ししていきます。
中毒事故が起こった時に最初すること
まずは原因物質の特定を行います。何を食べたのか、何を飲んだのかをはっきりさせ、次のアクションに対する準備をします。
中毒物質は種類によって対処法が違い、中には家庭で『嘔吐』をさせることを推奨していない物質もありますから重要です。
また実際に飲んでいる状況を見ていない場合は、周りに転がっている瓶や容器から原因物質を特定するだけではなく、どのくらい飲んだのかを推定することも大事です。
中毒事故時の応急手当て
応急手当ての方法は大きく分けて2つあり、意識があるのか無いのかで対処法が変わります。
①意識がない場合
意識がない場合や痙攣を起こしている場合は直ちに救急車を呼びます。
②意識がある場合
この場合はまず口に残っている毒物をゆすがせるか、難しい場合は濡れたガーゼやティッシュなどで拭き取ります。
またフッ化物ペーストのような弱い物質が原因であれば吐かせるように促しますが、その他の物質や原因物質が特定でき無い場合は『嘔吐をさせない』ようにし、『中毒110番』に連絡をします。
中毒110番
大阪中毒110番 :072−727−2499
つくば中毒110番 :029−852−9999
どちらも無料で相談することができます。相談できる内容は『急性中毒』限定で『医薬品による慢性的な副作用』や『食中毒』に関する問い合わせは受け付けていません。
中毒110番が受け付けている中毒
家庭用品:乾燥剤、タバコ
医薬品:医療用医薬品
産業用薬品:殺虫剤、除草剤、肥料
自然毒:ふぐ、マムシ、きのこ
工業用品:化学薬品、硫化水素、フッ酸
絶対に吐かせてはいけない毒物
次の物質は吐かせることによってさらに自体が悪化することがあるので、家庭で絶対に吐かせてはいけません。
原因物質 | 例 | 理由 |
石油製品 | 灯油、マニキュア、液体殺虫剤、除光液 | 器官に入ると肺炎を起こす |
酸性あるいはアルカリ性の薬液 | 漂白剤、トイレ用洗浄剤 | 吐くと食道と胃の損傷をより悪化させる |
樟脳 | 防虫剤の粒など | けいれんを起こす |
牛乳を飲ませたほうが良い毒物
胃に入った毒物を薄めて、粘膜への刺激を和らげるために牛乳か水を飲ませます。あまり飲ませすぎてしまうと吐いてしまうので無理なく飲める範囲にします。
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容器に『酸』『アルカリ』と書かれた製品
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界面活性剤(シャンプー、洗濯用洗剤、台所洗剤、石鹸)
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石灰乾燥剤、除湿剤
何も飲ませてはいけない毒物
逆に何かを飲ませることで毒性が増したり、吐いてしまう可能性がある種類もあります。
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石油製品:吐いたものが器官に入ると肺炎を起こすから
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タバコ:水にニコチンが溶けだし、毒性が強くなるから
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防虫剤:特に牛乳は油分が反応して体内に吸収されやすくなってしまうから
毒物を吸い込んだ場合
空気のきれいなところへ移動して下さい。
毒物が目に入った場合
目をこすらずに流水で10分間以上洗います。コンタクトレンズが外しにくかったり、目を洗うのが困難な場合はすぐに眼科を受診してください。
これらの応急処置を済ませたら速やかに近くの病院を受診するようにしましょう。